用語解説集
窒素(N)
作物の体組織をつくるために重要で、「葉肥(はごえ)」とも呼ばれる。植物の葉緑素(クロロフィルα、分子式;C55H72MgN4O5)や、アミノ酸(アミノ基; -NH2)が合成されるために欠かせない元素である。
化成肥料における窒素の主原料はアンモニア(NH3)と尿素(CH4N2O)であるが、諸資料を見ると国内自給率はアンモニアが80%、尿素が4%(アンモニアから合成される)程度で、大半は肥料製造に使われている。
なお、アンモニアは二酸化炭素を出さないためゼロエミッション燃料として近年注目度が増しており火力発電などの分野で需要が急拡大し供給問題が生じる可能性がある。
リン(P)
作物の体組織やエネルギー代謝のために重要で、「実肥(みごえ)」とも呼ばれる。生物の細胞膜はリン脂質で出来ている。また、細胞分裂に係るDNA、RNA(核酸)や、生体エネルギーの変換に係るATP(アデノシン3リン酸)の構成元素であるため欠かせない元素である。
リン酸肥料の原料であるリン鉱石資源を有する国は、中国、モロッコ、米国、ロシア、ヨルダン、ベトナムなど一部の国に偏っており、これらの資源保有国が供給を制限するリン鉱石価格が高騰するという構造にある。
カリ(K)
正式にはカリウム。根に多く蓄積されていることから「根肥(ねごえ)」とも呼ばれる。カリウムは体組織をつくる上での直接的な寄与はほとんど無いが、根から水を吸い上げるなど細胞の浸透圧調整や、炭水化物やタンパク質の合成および体内移動に係る補酵素などとして植物の生育期間を通じて生体機能の維持に欠かせない元素である。カリの原料となるカリ鉱石は埋蔵量全体の53%をカナダが占め、生産量ではカナダに次いでロシア、ベラルーシの順である。
リン安(PとN)
リン酸アンモニウム。リン酸とアンモニアを反応させて製造されるため、リン(P)と窒素(N)の両肥料養分を含む。リン安には「MAP」と「DAP」の二種類の化合物があり、両方とも肥料原料として使用されている。